マイル専門の馬だけでなく、スプリントや中距離、牝馬路線から、さらには若い3歳馬までが参戦することで、多様な背景を持つ馬が集まるGⅠレースとして知られています。
どのような馬が上半期のマイル王に輝くのか、過去10年のデータを基にその傾向を詳細に分析してみましょう。
東京競馬場での5週連続GⅠレースのフィナーレを飾る安田記念は、上半期のマイル王を決定する重要な競走です。
マイル専門の馬だけでなく、スプリントや中距離、牝馬路線から、さらには若い3歳馬までが参戦することで、多様な背景を持つ馬が集まるGⅠレースとして知られています。
どのような馬が上半期のマイル王に輝くのか、過去10年のデータを基にその傾向を詳細に分析してみましょう。
過去10年間の人気別成績を見ると、1番人気の馬が3勝3回2着2回3着2回で、勝ち星を最も多く挙げています。
特に2015年のモーリスをはじめ、1番人気馬は連対率60.0%、複勝率80.0%と高い成績を示しています。
一方、2番人気の馬は勝ち星がなく、1回2着と1回3着に留まり、複勝率は20.0%と低くなっています。
さらに、4番と8番人気の馬がそれぞれ2勝を挙げ、3番、7番、9番人気の馬が各1勝を記録しています。
7番から9番人気の馬も合わせて4勝を上げており、予想外の馬の活躍も見られます。
2着と3着の馬に関しては、低い人気の馬も幅広く入賞しており、特に3着には10番人気以下の馬が3頭入るなど、予想を覆す結果が多く見受けられます。
2019年と2020年を除き、毎年少なくとも1頭の8番人気以下の馬が3着以内に食い込んでいます。
また、3連単の高額配当は40万円以上は出ていませんが、10万円以上の配当が過去10年で5回発生しており、高額配当を望むファンにとってもチャンスがあることが分かります。
人気 | 1着 | 2着 | 3着 | 着外 | 勝率 (%) | 連対率 (%) | 複勝率 (%) |
1人気 | 3 | 3 | 2 | 2 | 30.0 | 60.0 | 80.0 |
2人気 | 0 | 1 | 1 | 8 | 0.0 | 10.0 | 20.0 |
3人気 | 1 | 3 | 1 | 5 | 10.0 | 40.0 | 50.0 |
4~6人気 | 2 | 1 | 2 | 25 | 6.7 | 10.0 | 16.7 |
7~9人気 | 4 | 1 | 1 | 24 | 13.3 | 16.7 | 20.0 |
10人気〜 | 0 | 1 | 3 | 66 | 0.0 | 1.4 | 5.7 |
過去10年の安田記念における年齢別成績を詳しく見ると、4歳馬が最も目立った成績を収めています。
4歳馬は【5勝、2回2着、2回3着、26回着外】で、昨年ソングラインを含む5勝を挙げており、勝率14.3%、連対率20.0%、複勝率25.7%と、いずれも最高の成績を記録しています。
一方、5歳馬も【3勝、5回2着、3回3着、38回着外】という記録を持ち、一昨年のダノンキングリーを含む3勝をあげています。5歳馬の連対率は16.3%で、4歳馬に次ぐ高さです。
6歳馬も【2勝、2回2着、3回3着、39回着外】と健闘し、2017年のサトノアラジンを含む2勝を記録しています。これらのデータから、勝ち馬は主に4歳から6歳の範囲に集中していることがわかります。
3歳馬は【0勝、0回2着、1回3着、3回着外】で、一昨年のシュネルマイスターが3着に入ったのが最高成績です。
7歳以上の馬は【0勝、1回2着、1回3着、24回着外】となっており、複勝率は7.7%と低めです。
これは年齢と共に競走成績が低下する傾向にあることを示しています。
年齢 | 1着 | 2着 | 3着 | 着外 | 勝率 (%) | 連対率 (%) | 複勝率 (%) |
3歳 | 0 | 0 | 1 | 3 | 0.0 | 0.0 | 25.0 |
4歳 | 5 | 2 | 2 | 26 | 14.3 | 20.0 | 25.7 |
5歳 | 3 | 5 | 3 | 38 | 6.1 | 16.3 | 22.4 |
6歳 | 2 | 2 | 3 | 39 | 4.3 | 8.7 | 15.2 |
7歳 | 0 | 1 | 1 | 14 | 0.0 | 6.3 | 12.5 |
8歳 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
過去10年間の統計によると、牝馬は【3勝、4回2着、1回3着、12回着外】という成績を収めており、連対率は35%に達しています。
これは牡馬やセン馬の連対率9.3%を大きく上回る数字です。
馬券に絡んだ牝馬は全てノーザンファーム生産馬である点で、今年は該当馬としてナミュールが注目されています。
もう一頭の牝馬、フィアスプライドにも注目です。
枠順別の成績を見ると、2枠が勝率、連対率、複勝率のいずれも高い位置にありますが、他の枠との差はそれほど大きくありません。
特に連対率と複勝率は各枠で均等に分布しており、枠順による明確な有利不利は少ないことがわかります。
それにもかかわらず、1枠から4枠の単勝および複勝の回収率が顕著に低いのは注目に値します。
対照的に、5枠から8枠の回収率は一貫して高く、中から外枠の馬が期待値的に優位に立つことが分かります。
この傾向を踏まえると、選択に迷った際は中から外枠を選ぶことが好結果に繋がりやすいと考えられます。
特に、「中~外枠から中団~好位でレースを進め、速い上がりを見せる可能性がある馬」は、人気がなくても重視すべきです。
枠順 | 1着 | 2着 | 3着 | 着外 | 勝率 (%) | 連対率 (%) | 複勝率 (%) |
1 | 0 | 2 | 1 | 14 | 0.0 | 11.8 | 17.6 |
2 | 0 | 1 | 0 | 16 | 0.0 | 5.9 | 5.9 |
3 | 2 | 0 | 1 | 16 | 10.5 | 10.5 | 15.8 |
4 | 0 | 2 | 1 | 16 | 0.0 | 10.5 | 15.8 |
5 | 4 | 1 | 0 | 15 | 20.0 | 25.0 | 25.0 |
6 | 0 | 2 | 2 | 16 | 0.0 | 10.0 | 20.0 |
7 | 4 | 1 | 2 | 16 | 17.4 | 21.7 | 30.4 |
8 | 0 | 1 | 3 | 21 | 0.0 | 4.0 | 16.0 |
前走レース別成績で、出走数が最も多いマイラーズC組は【1.0.6.32】。
一昨年インディチャンプが勝利しているものの、連対圏に入ったのは同馬だけで、3着が6回と多い。この組の3着以内馬7頭中6頭は過去にマイル重賞での勝利経験があった。
唯一重賞勝ちがなかった16年3着フィエロはマイルCSで2着2回とG1での連対経験があった。
次いで出走数が多い京王杯SC組は【2.3.1.30】。17年サトノアラジンら2勝をあげ、連対率13.9%・複勝率16.7%。この組は前走での上がり順位に注目。前走で上がり最速だった馬が【0.2.1.2】、上がり2位だった馬が【2.1.0.7】。この組の好走馬6頭はすべて前走で上がり2位以内だった。
その他国内の前走レースでは、ダービー卿CT組が【2.0.0.6】。15年モーリス、16年ロゴタイプと2頭の勝ち馬を出している。
高松宮記念組は【2.0.0.5】で13年ロードカナロア、昨年のグランアレグリアが勝利している。
ヴィクトリアマイル組は【0.3.0.12】で勝ち馬こそ出ていないものの、近3年続けて2着に入っている。大阪杯組はG1昇格後の近4年で【0.0.1.8】と連対馬が出ていない。
なお、前走海外のG1だった馬は【1.1.1.16】。14年1着ジャスタウェイら3着以内馬3頭は前走でその年の海外G1を勝利した日本馬だった。
マイラーズC組【1.0.6.32】
京王杯SC組【2.3.1.30】
ダービー卿CT組【2.0.0.6】
高松宮記念組【2.0.0.5】
ヴィクトリアマイル組【0.3.0.12】
開催年 | 単勝 | 複勝 | 枠連 | 馬連 | 馬単 | 3連複 | 3連単 |
2023年 | 740円 | 220円 | 1,300円 | 1,890円 | 4,240円 | 2,290円 | 14,510円 |
2022年 | 820円 | 260円 | 720円 | 1,740円 | 3,740円 | 11,810円 | 64,140円 |
2021年 | 4,760円 | 710円 | 720円 | 2,950円 | 12,090円 | 8,860円 | 110,420円 |
2020年 | 1,200円 | 180円 | 590円 | 650円 | 2,840円 | 840円 | 11,240円 |
2019年 | 1,920円 | 290円 | 4,010円 | 5,670円 | 13,660円 | 3,690円 | 43,720円 |
2018年 | 1,570円 | 410円 | 4,170円 | 7,370円 | 15,290円 | 6,560円 | 63,280円 |
2017年 | 1,240円 | 380円 | 590円 | 10,480円 | 20,410円 | 43,500円 | 283,000円 |
2016年 | 3,690円 | 520円 | 1,200円 | 3,230円 | 11,580円 | 14,990円 | 153,560円 |
2015年 | 370円 | 210円 | 990円 | 1,740円 | 2,680円 | 40,690円 | 127,190円 |
2014年 | 170円 | 110円 | 2,630円 | 18,730円 | 20,330円 | 91,160円 | 373,470円 |
特に注目すべきは、香港から参戦するロマンチックウォリアーです。
この馬は4月のGⅠクイーンエリザベス2世Cで歴史的な3連覇を達成し、その他にもオーストラリアのコックスプレート(2023年)、香港カップ2連覇(2022~2023年)といった大レースを連勝している、香港の中距離最強馬です。
このようなビッグネームが日本のレースに出走するのは非常に珍しいことで、宝塚記念にも予備登録がされています。
マイル戦は昨年1月の香港スチュワーズカップで2着になって以来ですが、C・シャム調教師が手掛けるため、成績を心配する必要はありません。
もし勝利すれば、2006年のブリッシュラック以来、18年ぶりの外国馬による勝利となります。
さらに香港からはヴォイッジバブルも参戦予定で、前走の香港チャンピオンズマイルで3着に入るなど、見過ごせない実力を持っています。
日本の対抗馬としては、一昨年のマイルCS優勝馬であり、最近のマイラーズCで2着だったセリフォスと、その勝ち馬でGⅠ初勝利を目指すソウルラッシュが中心になるでしょう。
これらの馬も強力なライバルとして、このレースに挑んできます。
*netkeibaより
東京競馬場・芝1600mは安田記念が行われる舞台。
このコースは向正面の奥からスタートし、最初の250メートルは緩やかな下り坂が続きます。
3コーナーまでの約550メートルは直線が続くため、ポジション争いは比較的穏やかで、枠順による有利不利も少なくなります。
しかし、3コーナー手前で一旦上り坂になり、その後再び下り坂に入るため、コーナーで息を抜きたい場面でもペースが緩まない特徴があります。
その結果、1400メートルのレースに比べて上がりがかかる傾向があります。
このマイル戦はスタミナ消耗戦となることが多く、逃げ切るためには単なるスピードだけでなく、スタミナと底力も必要です。
このため、このコースは「中距離に適したスタミナが求められる」とも言われます。